最終回 世界を変える、自分を変える、国際ボランティア
     海外で働くということ
▲子ども向けの活動も私のプロジェクトの一つです。アラジンの劇を成功させた子どもたちと一緒に喜びを分かち合う平野愛美さん
 私にとって海外で働くということは、大きなチャレンジでした。 知らない人へ話しかける勇気、人間 関係を築くためのコミュニケーショ ン力、相手を受け入れる寛大さや行動力などが鍛えられました。
■ 挑戦し続けて
▲豊かではないジブチの子どもたちですが明るい笑顔にいつも励まされました
 私はジブチに着いて直ぐ、物乞いをする親子、家も仕事もなくその日暮らしをする人たちなど、厳しい環境に追いやられても生きている人たちを目の当たりにして、 特殊な技術も知識もない私が、本当に出来ることがあるのだろうか不安でした。私の主なミッション (使命)は難民キャンプの女性グループの地位・収入の向上を図ることです。事前の情報もない中、私は「挑戦あるのみ!」という気持ちで活動を始めました。ゼロから形にしていく作業はとても大変でした。コミュニケーション不足や情報不足で思うようにうまくいかなかったり、思いがけない問題が出て来たり、試行錯誤の連続でした。自分のチカラに限界を感じたり、誰のためにやっているんだろうと落ち込んだりすることもありましたが、挑戦し続けることで、 思いが伝わりうまくいくことが増えて来ました。自分の活動に価値が見出せた時、現場で直接人と接しながら働くことの喜びや楽しさを味わうことが出来ました。これは私がジブチで受け取った一番大きな贈り物でした。

■ 喜びをたくさん見つけて
▲軌道に乗り始めた「お土産プロジェクト」は女性たちの夢と希望になっています
 振り返れば、ジブチで過ごした2年余りの間、ジブチの人々との交流は多くのストレスはありましたが、でも私はそれ以上に癒され、励まされ、元気をもらいました。日本に比べれば不便で遊びも洋服も食べ物も豊富にない国の生活でしたが、私は子どもの笑顔、 人との出会い、小さな親切、たわいもないおしゃべり、たまに出会える心惹かれる物、おいしい物といった日常生活の中に、沢山の素朴な喜びを見つけることが出来ました。「よく生きるということ」 と「幸せとはすぐ近くにある素朴なものなんだ」ということを学びました。本当に大事にしなくてはいけない価値観を教えてもらったように思います。家族、食べる寝ることができる、人を大切にする、無理をしない、そんな基本的なものの中に大切さがあることに気付きました。この価値観はきっと私のゆるぎない幹となるのものと思います。

■ 周りの人に支えられて
 多くの人に迷惑や心配をかけて選んだこの海外でのボランティア活動でしたが、今こうしてジブチで元気に、自分のやりたい仕事が出来ていることはとても幸せです。周りの人に支えられて多くのことを乗り越えて来られました。 人は一人では生きて行けないことを感じています。いろんなことにチャレンジをさせてくれ、支え励ましてくれた家族をはじめ、周りの全ての人たちに感謝で一杯です。本当に有難うございました。

※今回で最終回となります。平野 愛美さんは8月で2年間の任期を終了いたします。アフリカで蒔かれた種は必ず生えてくるものと思っております。長い間ご苦労様でした。気を付けてお帰り下さい。
● 平野愛美さんは青年海外協力隊員として2009年9月からア フリカのジブチという国に村落開発普及員として、現地の人々と生活を共にしながら、ボランティア活動に従事しています。派遣期間は2年間です。難しい局面と向き合うこともあるでしょう。連載で現地の様子を伝えてもらっています。日本の若者への元気メッセー ジにもなればと願っております。



掲載:2011/6/22

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