世界を変える、自分を変える、国際ボランティア
    幸せも喜びも共有しながら
▲プロジェクトをスムーズに行うためにもUNHCER(国連難民高等弁務官事務所)や関係者とのミーティングは欠かすことが出来ません(前列右:平野愛美さん)
 今回はジブチの人々が抱く日本のイメージやジブチの人々の生活感をお届けさせていただきたいと思います。宗教や文化、社会背景が異なる国の人々の幸せや喜びとは、どういうものなのでしょう か。
■ 日本人であることに誇り
▲活気溢れる市場。日本人と分かると気さくに 「コンニチハ」と声をかけてくれる
 ジブチ人:「君は中国人?それとも日本人?」、私:「日本人だよ」、 ジブチ人:「お~、日本人か!素晴らしい!」、街を歩いていると、 こんなやりとりが時々あります。 日本人の印象は上々です。その理由は、日本から多くの支援がなされていること、10年間の青年海外協力隊の活動、在留日本人との交流、そして近年自衛隊の活動拠点にもなり、日本人への注目度が上がっていることが考えられま す。「お金持ち、車、東京、空手、 テクノロジー」といった従来のイメージに加えて、「世界で一番礼儀正しく、尊敬されているのは日本人だ」と言ってくれる人もいます。日本人であるということに少し誇りを感じます。首都や地方でも「日本語を習いたい、日本に行きたい」とよく聞かれます。失業率が60%とも70%とも言われるジブチで、彼らが日本を豊かで幸せな国だと思うのは自然なことだと思います。

■ 一人暮らしは考えられない
▲人との絆を大切にしながら支え合いの生活 が定着しているジブチの人々
 又反面、日本は本当に幸せな国なのだろうか疑問に思うこともあります。ジブチの人々は必ず誰かと一緒に住んでいます。一人暮らしということは考えられないそうです。生まれてから死ぬまで、たくさんの人に囲まれて生きているから、人との絆を大切にします。 外国人の私に対しても、明るく挨拶をしてくれます。数十メートル歩いただけで、全く知らない人たちからボンジュール(今日は)!サバ(元気)?と声がかかります。 少々気分が乗らない日であっても、つい「元気だよ!」と笑顔になってしまいます。年配の方や重たい荷物を持っている人がいれば、必ず当たり前のように席を譲るし、街にたくさんいる物乞いの 人々へ寄付をする人も多いです。 イスラム教の基本的義務の一つと して『喜捨』というものがあるからだと思いますが、こんなに多くの失業者であふれている国でも、 何とか食べていけるのは、親戚や近所の人を中心に周りの人たちが支えているからだそうです。

■ 一番大切にしていること
 「インシャッラー(神の意のままに)」と言われ、予定通りに物事が進まないこともありますが、無理をしない彼らの生き方に少しうらやましくも感じ、心底人間好きなんだと思いました。喜びも悲しみも、幸せも苦しみも周りの人々と共有しながら生きていくことが、 ジブチの人々の一番大切にしているものだと感じました。人は人の中でしか生けていけないし、人間の幸せはそこにあるのではないかと考えさせられました。日本が恵 まれた環境にあり、優秀で美しい国と感じる一方で、人間が生活していく上での大切な原点を、ジブ チの人から教えてもらったような気がします。
● 平野愛美さんは青年海外協力隊員として2009年9月からア フリカのジブチという国に村落開発普及員として、現地の人々と生活を共にしながら、ボランティア活動に従事しています。派遣期間は2年間です。難しい局面と向き合うこともあるでしょう。連載で現地の様子を伝えてもらっています。日本の若者への元気メッセー ジにもなればと願っております。



掲載:2011/3/22

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