世界を変える、自分を変える、国際ボランティア
    希望の光がさすことを願って
▲難民キャンプでのAPEF(家族保護協会)の垂れ幕。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の傘下で、難民支援のため多くの仕事を行っています(6月20日の世界難民デーにて)
 私が働くAPEF(家族保護協会)という組織は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の傘下 で、難民支援の仕事をしています。ジブチにはエチオピア・ソマリア・エリトリアなどの隣国から逃れてきた難民の人たち大勢がいます。この人たちが首都で暮らすか、キャンプで暮らすかは自由ですが、どちらも厳しい環境であることに変わりはありません。
■電気なし水道なしの生活
▲広大な土地に約1万3千人の難民が暮らすキャンプ場。子どもも大勢います
 難民キャンプは首都から3時間ほど行った所にあります。広大な土地に約1万3千人の難民が暮らしています。食料や物資の配給、医 療サービス、基礎教育、そして職業訓練プログラム等がありますが、それらは本当に必要最低限のものです。小麦粉、砂糖、石鹸、油などは毎月配られますが、お肉やお野菜は数ヶ月に一回手に入ったらいいほうです。家には電気も水道もありません。毎日井戸まで水を汲みに行きます。日本に暮ら していると電気があること、蛇口から水が出ることは、当たり前すぎて気づきませんが、電気なし水なしの生活がどれだけ大変で不便か想像もできません。

■先進国へ行きたい
▲電気も水もないテント生活。家財道具は鍋など最低限度のものしかありません
 難民の中で仕事を持っている人は、ほんの一握りの人だけです。 仕事がないのが普通という状態です。限られた配給に頼って生活を するしかありません。彼らは言います。『ここには平和と生きるための食料はあるけれど、希望がない』 と。『高等教育を受けて、いい仕事 をしたい。そのためにここを抜け出して先進国へ行きたい。ここでの生活は生きるのに必死のサバイバルなんだ』と話してくれた男性は、このキャンプで20年も暮らしています。自国に帰れば身の安全はなく、この閉鎖された世界に身を隠し、細々と命をつないで生きているだけだといいます。

■過酷な現実を背負って
▲毎日様々な問題を抱えた人たちがやって くる難民事務所で働く平野愛美さん
 月に一度か二度訪れるキャンプでは、難民の人たちの温かい出迎 えや子どもたちのキラキラした笑顔に出会う度に、彼らの強さと誇りを感じ、同時に自分の甘さに身の引き締まる思いと、自分を突き動かす勇気を与えてもらっています。守られて何でも簡単に手に入る環境に身をおいていると、幸せの線がどんどん高くなっている気がします。少しの事で私は不幸だ、もう無理だと思ってしまう。 自分がどれだけ恵まれているか、 周りにどれだけチャンスが転がっているかにも気づけなくなってしまう。今おかれている自分の環境に感謝することができれば、もっと幸せになることが出来る、強く生きることが出来るということに気づかされます。悲しい出来事や過酷な現実を背負って生きている難民の人たちに、希望の光がさすことを願ってやみません。この人 たちの為に出来ること、残り1年の任期を必死にやり遂げたい。
●平野愛美さんは青年海外協力隊員として2009年9月からアフリカのジブチという国に村落開発普及員として、現地の人々と生活を共にしながら、ボランティア活動に従事しています。 派遣期間は2年間です。難しい局面と向き合うこともあるでしょう。連載で現地の様子を伝えてもらっています。日本の若者への元気メッセージにもなればと願っております。



掲載:2010/9/25

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