"I Love Japan" お辞儀で気持ちを伝える国「日本」

 さて今回は、南米チリのサンフェリペから10年前に来日されたベネガス・アルバロさんにインタビューをさせていただきました。現在、日本の会社に勤め、第一線で活躍をされています。もともとは尊敬するお祖母さんの厳しいしつけで育ち、来日してさらにチリと日本の文化の違いを経験する中に感じた日本の素晴らしさ、その一端をご紹介させていただきたいと思います。

● ベネガス・アルバロ さん (チリ・サンフェリペ出身)
 2000年来日。日本の会社で営業と新入社員の教育を担当。奥様、娘さん、息子さんの4人家族。岡山では数少ないチリ出身の一家。
Q:今の会社に入るきっかけは?
 私は岡山大学で勉強していましたが、日本に残りたかったので、どこか就職先をさがしていました。すると、友達が今の社長を紹介してくれました。社長は「一に仕事、二に仕事、三に仕事、それから家族や趣味」 という考えの持ち主でした。しかし、私は仕事が出来るのは、神様がいて、家族がいるからという自分の考 えを伝えました。社長は「仕事をしたいなら、その考え方を変えなさい」と言われましたが、変えれば自分で は無くなるので、私は「変えません」と答えました。しかし、社長に聞かなければ分かりませんが、どういう訳か採用されました。

Q:最初はどうでしたか?
 私は最初「日本人は冷たいなぁ」という印象をもっていました。チリの挨拶はハグ(抱擁)をするのが普通です。女性であれば、初対面でも頬にキスをしますが、日本人は全てお辞儀で済ませるじゃないですか。もっと触れ合ってもいいのにと思っていましたが、お辞儀はレベルの高い挨拶だということが、段々と分かってきました。仕事でお客さんを相手に、感謝を表したい時も、謝る時も、お願いする時も、お辞儀という1つの動作で表現しなければなりません。「奥深いなぁ」と感じました。気持ちが入っていなければ、ただの動作です。相手に対しても失礼になります。今まで「冷たい」と見ていたものが、いかに気持ちを伝えるのか、その難しさを学びました。

Q:会社ではどういうことをされていますか?
 私は今、営業と新入社員の教育を担当しています。チリ人の私が日本人に教えるのはおかしいでしょう。 偉そうなことを言うつもりはありませんが、学んで欲しいことは「気持ちが大事。言葉以上に伝わるから」ということです。お辞儀の仕方と同じです。口先だけの「すみません」はポップコーンよりも軽い。自分の子どもにも「謝るなら、二度としないという気持ちを持ってから、謝れ」と伝えています。

Q:外国人として心がけていることはありますか?
 私は17歳の時に初めて来日しましたが、大きな視野で物事を見れるようになりました。日本の文化、マナーを守ってのチリ人でありたいと思っています。チリではこうするから、日本のやり方を知らないということはしたくありません。チリの文化やマナーを隠し味として持つことでチリ人であることを示せます。そうすれば違和感もなく、相手も受け入れる心の準備ができます。私は仕事をしていて、会社の中では、たぶん誰よりも明るいと思います。人間の心臓の大きさはみな一緒、でも心の大きさは違います。心は広い方がいいと思います。私は今、人生を楽しんでいます。



掲載:2010/7/5

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